どっちだっていいか 満月だ

「君が人生の時」・・・永遠の強さ。

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思い出という呼び方はしたくない。
なぜなら、思い出とは過去に封印されてしまったものだから。
歴史なのだ。

楽曲は、僕たちの胸に刻まれた歴史の中で永遠の生を生きる。
その一方で、ライブの歌は、一瞬の生をまばゆく生きる。
永遠と一瞬がコンサートホールで交差し、溶け合う。
その光景こそが「いま」なのだと、僕は思う。


浜田省吾の2007年のライブパンフのラストに、
重松清氏の「人生という名のもとに」というエッセイがあった。
手にしてから何度も何度も繰り返し読んだ。
それ以来のツアーだから・・・4年ぶりになる。
昨夜、浜田省吾のアリーナツアーの最終日を観た。


「この週末の夜は おれにくれないか?」
・・・キュンとせつなくなったあの日の私がいる。

「稲妻が俺の体 駆け抜け 全て夢が走り出し」
“独立記念日”に“反抗期”に“終りなき疾走”・・・。
熱い歌詞、強い彼の歌声が・・・私の体を駆け抜けた。

私がティーンエイジャーの自分に戻れる場所は、彼の歌。
35周年ですね。心からリスペクトします。
今までずっと、ほんとうにありがとう浜田さん。

ティーンエイジャーの頃に出会い染み込んでいった音楽は、
やはり特別な感慨があって潤んだ気持ちに包まれてしまう。
彼にはいっぱい支えられたし、いっぱい助けてもらったから。

30年前のナンバーを、彼がステージに立ち歌う。
ティーンエイジャーの自分と現在の自分がクロスして、
永遠と一瞬が交差し溶け合った「いま」の時間が、
たおやかに胸の中に流れ込んでいった。
そんな魔法の4時間だった。


私は、彼の真摯でどこまでも紳士なところが好きなんだ。
ステージに立つ彼の懐は大きくてすっぽり包まれてしまう。
緻密に完璧なステージを創ることにどこまでもストイックで、
スタンドマイクを高らかに持ち上げてくるくる回る姿は健在だし、
ステージを右から左に髪をフワフワさせて走る姿も健在。
来年、還暦を迎える彼の“浜田省吾”ぶりは変わらない。

彼はきっと世間の求める“浜田省吾”に、どこまでも真摯なんだと思う。
センターステージで、「レッツゴー!」と歌い出す姿は若々しくて、
取り囲んだ数多なる女子全員をキュンとさせてしまうほどのカッコよさだ。
けれど・・・私は、もう変わったっていいかなと思う。

スプリングスティーンやディランみたいに、
開き直ったようないかにもオヤジって感じの、
年を重ねた渋いオヤジぶりも観てみたいから。
そう・・・これからもずっと彼を観ていたいから。
年と共に変化する彼を観ていたいと思う。


「ずっとライブで歌わなかったけど、“君が人生の時”の1曲目」
“風を感じて”を久しぶりに聴いた。
なぜだか胸の奥がキュンとせつなくなった。

「自由に生きてく方法なんて 100通りだってあるさ」
あなたは優しくそう歌ってくれた。
自由に生きる方法なんてそう多くはないし、
選んだ道以外に自分が選べる道はないんだってことを、
私はもう知っている。ポップに陽気に聴いてた10代の私じゃない。
けれど・・・そんな「いま」を嫌いではないよ。

なんだか「いま」こうして生きていることに感謝したくなった。
そんな夜だった。彼のライブの後は、きまってこういう気持ちに包まれる。


『ON THE ROAD 2011 The Last Weekend』
2011.10.30  さいたまスーパーアリーナ

01. ON THE ROAD
02. この夜に乾杯
03. HELLO ROCK & ROLL CITY
04. 独立記念日
05. 反抗期
06. 光と影の季節
07. Thank you
08. MONEY
09. 風を感じて
10. 片想い
11. もうひとつの土曜日
12. PAIN
13. BLOOD LINE(Instrumental)
14. 我が心のマリア(Instrumental)
15. MY HOMETOWN
16. 裸の王達
17. 詩人の鐘
18. THEME OF FATHER’S SON
19. RISING SUN
20. J.BOY
21. 僕と彼女と週末に
22. 愛の世代の前に
23. モノクロームの虹
24. 終りなき疾走
25. 君がいるところが My sweet home
26. I am a father
27. 路地裏の少年
28. 家路

(en1)
29. 日はまた昇る
(en2)
30. 君が人生の時


昨年の9月に海外で撮ったというメッセージ映像が流れた。
「こうしてこの映像を見てくれてるってことは、
 最終日のさいたまスーパーアリーナに来てくれてるってことだね。
 君たちは、今の僕が知らないことをもう知ってるんだよね。
 知らないことを経験してるんだよね」
9月の青空の下、笑顔で語りかける省吾。同時にキュンと胸が痛んだ。

「NO NUKES」を静かに歌い続けてきたミュージシャン。
背中のスクリーンに、1945の文字が大きく流れる。
「愛の世代の前に」を高らかに歌い上げる。

「抱きしめるがいい ただ ひとつの 君が人生の時」
「今は戦後でいちばん大変な時代だけど、乗り越えて生きていこう」
真摯な強い言葉にこくんと頷き、「君が人生の時」を静かに聴いた。
身動きひとつ出来ずに聴いた。
10代の頃、繰り返し聴いた時と交差し、溶け合った。


若い連中の刹那的な「いま」も悪くはないけれど、
永遠の強さも一瞬の輝きも知っているオトナの「いま」は、
もっと深いんだぜ、とも。


重松氏のエッセイはこう続いていた。
永遠の強さこそ、時を重ねなくちゃわからないものだ。

ディランの“時代は変る”は、時代を超えてるよね。
変わらない普遍性があって、時代がしんどくなれば必ず浮かんでくる。
省吾の歌も然り。聴き続けてきたファンは、
そんな永遠の強さを「いま」噛みしめているんだろうな。私も。

昨年の9月の映像の時に、出来たら戻りたいと思う。
でも、知りすぎるほどに知ってしまった「いま」だからこそ、
変わらない永遠の強さを持ちたいと思った。
ありがとう省吾。10代の頃、あなたに出会えてほんとに良かった。
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by kurin1022 | 2011-10-31 16:27 | 浜田省吾 | Comments(2)
Commented by mayu at 2011-11-01 22:59 x
こんにちは。以前コメントさせていただいたのですが、またおじゃまします。
最終日に行かれるとお話されていたので、実はレポを楽しみに待ってました。
永遠の強さ・・・ほんとにそうですね。ジーンとなりました。
私も省吾に出会えたことは誇りです。
ディランの“時代は変わる”を挙げられていたところは、さすがくりんさん。
ラストの余韻の中・・・ファン内の例のざわざわは、それこそ一瞬の生の「いま」のこと。
生だからこそで・・・もういいよって思ってます。
省吾の気持ちに寄り添うと、ちょっとセンチになるけどね。
Commented by kurin1022 at 2011-11-02 00:01
♪ mayuさん

コメントいただいたこと、覚えています。再び・・・ありがとうございます。
私は今回のツアーは最終日のあの日だけでした。
一期一会。ONE & ONLYです。ライブ=生ですものね。
今思うと、ヘッドホンをして自らタクトを振っていた省吾の姿や、
センターステージでの“家路”のシーン・・・キュンとなります。
こじさんのピアノに寄り添ってアコギを弾いてた彼の姿。胸が締め付けられます。
そして・・・ほんとに綺麗な音だった。省吾のギターの音をちゃんと聴けて良かったです^^v
生の一瞬の「いま」のステージ創りの難しさについてしみじみ考えましたね、私も。
一生懸命にサポートしてたバンドマンたちのことも。
そして・・・やっぱり、「いま」の一瞬の輝きを生み出してる生のステージの中で、
ひとかけらでも“逸脱してしまった何か(わからないけど・・・)”が存在してしまうと、
こんなにも不調和音が響く気持ちに陥るんだってことも肌で感じた日でしたね。
「おつかれさま省吾」って・・・mayuさん、一緒に乾杯しましょ!
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