どっちだっていいか 満月だ

LIFE IS COMIN' BACK

10年前の僕らは胸をいためて「いとしのエリー」なんて聴いてた
ふぞろいの心は まだいまでも僕らをやるせなく悩ませるのさ


・・・胸をいためて「いとしのエリー」を聴いてたのは、
もう30年も前のことなのね、と改めて思う。


3月に16年ぶりにTV出演された小沢健二さんを観た。
個人的には、ビジュアルは昔よりうんと好みの素敵な男性になってた。
年を重ねたその顔は、優しくて爽やかでインテリジェントで。
話し方や佇まいは、穏やかで温かかった。

長く続けられた「いいとも」を終えられるタモリさんに、
「長い間、お疲れ様でした」という言葉を、
丁寧に心から贈りたい、という思いで彼は来日されたんだ。
・・・そう、感じた。

「お疲れ様でした」という敬意をこめた温かな言葉が、
何度も何度も体中から滲み出ていた感じだった。

・・・そして、大切な自身の歌を届けるために。
「いいと思う歌詞は小沢くんだけ。あれは生命の最大の肯定の歌」
昔、照らいもなく率直にそんな絶賛の言葉を贈って下さったタモリさんに、
大切な歌を心をこめて贈りたい・・・そんな彼の思いを感じた。


正直言って、声はあまり良く出ていなかった。
「オザケンは、歌は上手くないよ。でも味があるんだ」
爆笑問題の田中さんが以前、愛情をこめてそう表されていた。
・・・言い得て妙。

上手いボーカリストなんて星の数ほどいるし、
「なんだか、わからなかった」って率直な感想をくれた若者の、
言葉の奥のそれさえも、私にはよくわかってしまう。

彼の歌って・・・なんだろう。
時折、思い出したように「LIFE」を聴く。
包まれてしまうこの大きな「多幸感」って・・・なんだろう。
聴くとたちまちウキウキしちゃうこの感じ。
体中で歌っちゃうようなこの感じ。
・・・凄いアルバムだな、と改めて感じる。

20年前から「LIFE」は擦り切れるほど聴いてきた。
詞の凄さは時が経つほどに強く感じられた。
メロディと詞の相乗効果の凄さも。そして、この声の魅力も。

私は声に惚れないと、そのアーティストに触れることは一切ない。
けれど、オザケンのこれだけは別だった。
・・・声もビジュアルも好みではなかったから。
(よって・・・「王子様!」と黄色い声を上げたことはナシ)

聴いてるうちに離れられなくなってた稀有な盤。
・・・別物なんだよね。
それは、きっと・・・私だけではない。
今やこのアルバムを聴くと、
「崇高さ」にも似たオーラを感じずにはいられない感慨に、
多くのジャストの人が包まれてしまうんだろうな・・・と感じている。


「いいとも」では、ギターを弾きながら、
丁寧にタモリさんに歌を贈った。

南米での暮らしや旅の話。子供が出来たこと。
16年の歳月のことを和やかに談笑されていた。

が・・・「タモリさんとそして番組のスタッフの皆さんに」と言って、
ギターを優しくつま弾き歌い出した途端に、
流れる風が脈を打った。
私もTVの前で息をのんで聴き入ってしまった。

左へカーブを曲がると 光る海が見えてくる
僕は思う! この瞬間は続くと! いつまでも


「生命の最大の肯定」と絶賛されたタモリさんが好きなこの曲。
「さよならなんて云えないよ」を歌いだすと、
小さく「おっ!」と感嘆の声を上げられたタモリさん。
優しくはにかんだオザケンの顔を観ていたら、
キュンと胸が揺れた。ジーンとなった。

素敵な歌だった。
心のこもった美しい歌だった。
優しくて温かな歌だった。
なんだか泣きたくなってしまった。
せつなくてせつなくて胸が痛むほどに。

優しい「いいとも」の時間が穏やかに流れてた。
じっと聴かれていたタモリさんの顔を観て・・・
また泣きたくなった。


もちろん会場にお客さんはいたのだけれど、
二人だけのまあるい空間の中にあって、
時が経った今、こうやってお互いの幸せを感じ合いながら、
そんな喜びを気負いなくゆったりと話されていた。

「幸せな大人たちの画」がそこにあった。
観ていたらこっちまで幸せな気持ちに包まれていた。
タモリさんとオザケンの少し老けた横顔は、とても優しかった。

彼はリリースされたばかりのアルバムの話には、
最後まで一切触れることはなかった。
歌い終わった後に照れたような笑顔で、
ぺロッと舌を出してみせたかつての「渋谷系の王子様」は、
素敵な大人になってた。


「LIFE」を聴いた20年前は、
「ライブに行きたい」という気持ちは抱かなかった。
・・・20年経った。「LIFE」を聴くたびに、
彼のライブを観てみたいな、と熱望している今の自分がいる。
今度あったなら、絶対に行ってみたい。

彼の「ひふみよ」のサイトを時折覗いてみる。
(時に難しいけれど)「読み物」の彼の文章を読むのが好き。
彼が綴られたこんな文があった。

「海外にいる邦人って、仕事の都合とかで、意外とオンラインでは
 日本語環境と切れないでいる人が多いのですが、
 僕は意識的に離れていて」
「どうしてですか?」(・・・とうさぎは問う)
「そういう役割なのかなあ、と・・・」

やっぱり、私にとってオザケンは、
昔も今もずっと・・・カリスマ過ぎて遠い人だ。

けれど・・・久しぶりに触れたオザケンは、
優しくて大きくて温かくて人間くさくて、
笑顔が素敵な大人だった。
なんだかちょっとだけ近くにいるような、
そんな気さえした。

「LIFE」(改めて思うに凄いタイトル)を楽しんでいる、
しなやかな生活人の趣きの大人の彼は、
原宿やプラダなんて響きの香りからは遠く・・・
どこか土の匂いがした。温かな風の匂いがした。

20年の時間そのものが、なんだか愛おしく感じられた。
そんな感慨に包まれた、優しいお昼の時間だった。


「ひふみよ」の中で彼はこんなことも話されていたっけ。
なんか・・・印象に残った言葉だったな。

「小沢健二の専門みたいになるのは、
 やめたほうがいいと思う。
 僕なんかよりも、もっと楽しいことがあると思うし」
「みんなそれぞれの暮らしがあるんだから、
 それぞれの暮らしを生きましょうよ」

大いに同感。大いに共感。
まさに・・・(今の)オザケンって感じがした。

毎日の暮らしに色を添えてくれるいくつもの音楽を楽しみながら、
たくましくしなやかに、そしてしたたかに、
私は自分の暮らし「LIFE」を生きていく。


そして毎日はつづいてく 丘を越え僕たちは歩く
美しい星におとずれた夕暮れ時の瞬間
せつなくてせつなくて胸が痛むほど




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by kurin1022 | 2014-07-02 15:18 | 音楽 | Comments(3)
Commented by ヒナ at 2014-07-02 16:23 x
くりんさん、おひさ♪
暑いよね。いよいよ夏ですなぁ。暑いのは苦手やねん。
前にタカシくんの話の時に、このLIFEのことは教えてもらったよね。
いいですね、こういう音楽って。時間が経過しても輝いてるってのは。
いろんな思いを経てるとなおさらなんだろうし。
LIFEは知らない私自身は、多分話に出てきた若者同様の思いを、
率直に感じはしつつも(笑)、じーんと感動してしまったヒナでした。
なんかこの空気って・・・凄いな。見ていて涙腺、けっこうヤバかった。
せっちゃんのは・・・決まりましたか?
Commented by kurin1022 at 2014-07-04 22:00
♪ ヒナさん

おひさ♪夏到来!今年は夏フェスなんてどう?私はムリだけど(笑)。

この日の小沢健二は素晴らしかったです。
こみ上げるものがありましたね。多くのジャストの人もきっと・・・。
横で聴かれていたタモリさんの顔がほんとに温かくて。
「LIFE」から20年経った今・・・楽曲の素晴らしさがほんとによくわかるんです。
この日歌った「さよならなんて云えないよ」「それはちょっと」が入った
「刹那」というアルバムもとてもいい。歌詞が日本語が・・・ほんとに美しいんです。
「球体の奏でる音楽」も。でも、やっぱり私は「LIFE」がいちばんです。
大人になった彼の落ち着いた物腰や会話にも、感動してました。
昔は、チョー生意気だと取られがちな振る舞いが多かったから(笑)。
正直な人なんだな・・・とも私は感じてましたが。
この日はタモリさんが「いやぁ、贅沢だね」と話され、謙遜する大人の彼がいて。
そんなシーンが随所にあって、「大人なんだな」って感動しきり・・・。
彼はちゃんと人の目を見て話す人ですね。
都市伝説と化したように思われた時期もあったけれど、
2010にライブツアーで復活された時は、やっぱり嬉しかったです。
Commented by kurin1022 at 2014-07-04 22:09
(続きです)

2012のライブは行きたい気持ちがありました。
今度あったら(チケ取れたら)行きたいです。
でも・・・今度はいつなんだろう。彼は今、何処に・・・。
私にとってオザケンは、ずっとカリスマ過ぎる人ではありますが、
温かな素敵な大人の彼を拝見し、なんとも言えない気持ちに包まれた日でした。
20年前、私の周りは浜省ファンがとても多くて、
チャラチャラした王子様のイメージや、生意気な若造のイメージや、
恋愛ソングばっか歌ってる軽いヤツ・・・とオザケンを認めようとしなかった輩が、
「凄い名盤だね」と20年後の今は言っております。
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