どっちだっていいか 満月だ

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アルトサクソフォンの女

この春から、中学校生活が始まった娘。

「行ってきま~す」
仲良しの友達と自転車で颯爽と行く制服姿。
「ルンルン」・・・と弾む声が聴こえてきそう。
まだまだ目に新しくて、ついずっと見送ってしまう。


部活は、迷いに迷ってやっと決まり、
仮入部届(親の署名がいるんかい!と驚く母)を提出した。

娘は・・・「吹奏楽部」に決めた。
「お母さん、どう思う?」と、新しい生活にワクワクしながら、
問いかけてくる瞳もキラキラ輝いている。
とても楽しそうで・・・一回り分だけ、急に大人になったようで。

バレー部に入ろうかな、と話していた。
体験入部してみたら30人も新入部員がいたらしい。
自分は多分、レギュラーには縁遠い位置で終わるだろう。
・・・自分なりに考えて、結論を出したらしい。

やってみなきゃ分かんないよ、と夫。
もちろんそうだ。夢はあきらめるな!・・・だ。
でも、自身の体育の成績や運動能力などを踏まえて、
現実や起こりうるだろう未来をシビアに見つめたことに、
母は、娘の成長を見た思いなんだよねえ。
現実を知る、己を知るって・・・
生きていく上で、とても大切な術だからねえ。

だから・・・
やってみたかった吹奏楽部にしたの、と目を輝かす。

娘が一人で考え、悩み、自分で決めたことだ。
お母さんは、ほんとに・・・あなたが選んだのなら
それでいいと思う。
娘は今夜は塾。この頃めっきり夫婦二人で過ごす時間が増え、
夫と・・・自分で選んだんならそれでいいよね、と話した。

オーディション選考の結果、娘の担当楽器は
「アルトサクソフォン」になった。


私の中で、サックス奏者と言えば・・・
なんてったって、「古村敏比古」だ。
知る人ぞ知る、「スチャラカ」と・・・ロックやブルースを吹く男。
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高校生の時・・・
ラジオで聴いた、この人の即興で吹いたサックスの、
「すんげえ汚い音」にガツンと衝撃を受けて、一耳惚れ。
その後・・・
好きなミュージシャン(ハマショー)の、バンドの常連である彼の、
「すんごく綺麗な音」にいっぱい触れた。
華やかで、憂いがあって、哀愁があって、力強くて。
彼の奏でるたくさんの音色に、ストレートに胸を打たれた。


いつ、きちんと音が出るのかな・・・と娘。
がんばれ!ニューフェイスのサックス奏者さん。

あなたの吹くアルトサクソフォンからは・・・
どんな音が聴こえてくるんだろう。

ミーハー魂に火がついて
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by kurin1022 | 2010-04-28 22:01 | ここりん My Love | Comments(9)

高2のぼくが彼女に贈った歌・・・「ガッタガッタ」と叫んだ青春

今日の朝刊で、
忌野清志郎が、高校時代に恋人に贈った歌の
録音テープが見つかった、という記事を読んだ。

テープを持っていたのは、高校時代に彼と交際し、
交換日記をつけていた同級生の女性。
テープの箱には、美術好きの清志郎らしく、
自画像が描かれ、自筆の歌詞カード、
全曲解説がついていた・・・という。

恋人との長電話がきっかけで、
「2時間35分」という曲を作ったこと。
「もう戦わなくてもいい」という曲は、
失恋の歌を作るつもりだったけど詞を書いていたら
反戦歌になっちまった・・・と彼女に解説したということ。
そんな微笑ましい話が紹介されていた。

高2の時に、反戦歌を書いていたんだな・・・
なんだか胸が熱くなってしまった。


またどこかで争いが始まりました
見えてるんでしょう? なんか すいません・・・


「なんか すいません」
せっちゃんの歌う「Phoenix」の詞にあって、
その一言が、私の胸をきゅんと締めつける。

「武道館ベイベー」と叫んだ、あの日の「Phoenix」は、
迫ってくるせっちゃんの歌声に、息が出来なくなるくらいだった。

「ガッタガッタ」と繰り返すせっちゃんの叫び声に、
今、また・・・何度聴いても胸が熱くなってしまうんだ。

清志郎の歌唱の代名詞でもある、
「ガッタガッタ」というソウルフルな叫び声。
高2の冬のその音で、すでに聞こえるのだそう。
「ガッタガッタ」は・・・「青春の叫び」だったのですね。


来月は、一周忌ですね。
大空高く舞い上がっていったあなたの・・・
「ガッタガッタ」の力強い叫び声。
いつまでもずっと忘れません。

私は・・・
「なんか すいません」って気持ちを
いつも持ち続けて、毎日を送っていきたいです。
その小さな気持ちが、間違いを起こさないことに、
きっとどこかでちゃんと繋がっていくのだと信じて。

「なんか すいません」は、
ささやかで、切なくて・・・大切な言葉なのです。
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by kurin1022 | 2010-04-23 21:10 | 音楽 | Comments(6)

憧れの体育座り

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優しい微笑みに満ちた人達の真ん中に、
アコースティックギターを愛おしそうに抱えている彼がいる。

100人も入ればいっぱいの、小さな空間。
キャンドルの灯りに揺れながら・・・
彼をぐるっと囲んで座り、ゆったりその声に耳を傾ける。
ギターに乗せて・・・彼の温かい歌声が届けられる。
小さな空間に優しく強く響き渡る、ハナレグミの歌声。
穏やかな優しい空気に包まれていた。

“光と影” Candle Night
・・・そんな名前の素敵なライブ映像を観た。
小さな会場の真ん中で、永積崇が優しく笑っている。
いつか、こんなライブに触れてみたい。心からそう思った。

今、夢が叶うならば、どんなライブを観たい?
もしもそう問われたならば・・・
ハナレグミのCandle Nightのようなライブ。
あんな空間に身を置いてみたい。
・・・迷わず、そう答えただろう。

フロアーに体育座りして、永積崇を囲む。
キャンドルの灯りのように、ゆらゆら心を揺らす憧憬。
胸の奥で、ずっと憧れている素敵なシーン。

その夢が、来月ちゃんと実現しますように・・・。
毎日ずっと神様にお願いしていたけれど・・・
やっぱり、ダメだった。

弾きが旅だよ人生は!
《で・・ちなみに五月末あたりのスケジュールっていかがっすかね?》
・・・あの日と同じ空間で、ハナレグミを囲むライブ。

武道館を即日完売する男が、この小さな空間でライブをする。
エントリー抽選の結果、残念な思いをされた方が
たくさんいるってことは、想像するに難くないことだ。
結果が分かった時、最初にそのことが頭に浮かんだ。

仕方ないや・・・夢がちょっと、先延ばしになっただけさ。
いつの日か、きっと、永積崇を囲むんだ。
・・・憧れの体育座りをして。


いつだって その輝きに 
真っすぐに 熱くなれたら
なんにだってなれるぜ どこへだって行けるんだぜ



最後に・・・
「エントリー抽選のバカヤローーー!」
せっちゃんの、食事をゴチになれるというトークイベントだって、
どーせ当たりっこないのさ。フンだ!
いっそ・・・「22才」とサバ読んでみたら、当たるんかい?

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by kurin1022 | 2010-04-23 21:01 | ハナレグミ | Comments(2)

もう一度、原点にゲット・バックしよう

もじゃもじゃの人・・・娘は、せっちゃんをこう呼ぶ。
「ずっと好きだった」のPVがテレビで流れた。
「えっ!髪だけじゃなくて、髭ももじゃもじゃ・・・気持ち悪い
失礼なことばかり言ってる小生意気な娘。
まったく、もう!(それを言うなら・・・リリーだろ!)

・・・私が話そうとしたら、夫が先に言った。
「説明無用だよ。ルーフトップ・コンサートだろ。
 誰だって知ってるよ。アップルの屋上のゲリラライブだ」

ルーフトップ・コンサートでの「GET BACK」の映像が、
ビートルズBOXのDVDに入ってるよ、と夫が言った。
早速、その・・・「伝説の最後のライブ」の鑑賞会となった。


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「演奏を止めろ」という警官に対し、
黙々と演奏を続けた、あの日のビートルズ。
「いっそ逮捕してくれればいいのに。
 だって最高のエンディングだろ」と、ポール。
「警官に羽交い締めされて逮捕されるシーンを、
 映画のラストに使いたかった」と、リンゴ。
・・・世界のビートルズだねえ、やっぱり。

「グループを代表して感謝を述べたいと思います。
 そして、私たちがオーディションを通過したことを
 願っております!」
ジョンのジョークで、42分間の演奏は終了。
ビートルズは・・・終了した。


「もう一度、原点にゲット・バックしよう」
ポールの言葉は・・・日常のいろんな場面で、
ふっと私の心の中で聴こえてくる。
世界中の人の心の中で。いつだって。今だって。ずっと。


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もじゃもじゃって・・・髭はこれでも本家より、かなり少なめなのか。
「もじゃもじゃの人の方が、ポールよりも若いよね」と、娘。
「外国人の年齢が分かるには、20年早いのよ」と、私。
(実際のところ、未だにまったく分からない私)

この時、「ポール・マッカートニー」・・・26歳。
今、「和義・マッカートニー」・・・43歳。(まさに男盛り!)






僕がビートルズをやめたんじゃない。
ビートルズがビートルズをやめたんだ。
ただ誰もパーティーが終わったとは言いたくないだけさ。
・・・ポール・マッカートニー、28歳の春に。
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by kurin1022 | 2010-04-22 17:01 | 音楽 | Comments(8)

今宵のビールは・・・爽やかな春の味がして

ピンポーン。
「酒屋ですが、お届け物です」
配達のお兄さんが缶ビールの箱を持っている。夫宛てだ。
「ちょっと確認します」と言って、
夫の携帯にかけてみたが繋がらない。
「きっと、お返しする物だと思うんです。
 持ち帰っていただけませんか」と私が言うと、
「近くなので、一応置いていきます。ご主人が帰られて
 返されるということであれば電話下さい。
 すぐ、取りに来ますんで」と、置いて行かれてしまった。

きっと、夫の教え子の親御さんが送って下さったんだろう。
高校の教員の夫と結婚して・・・
公務員である夫には、お中元やお歳暮などといった物は
もちろん一切無縁であるのだが、
なかには送ってこられる方がいることに、まず驚いた。

当然ながら、在学中はもちろん、
卒業した後でも一切受け取れない。
すぐ、それと分かる時はその場で受け取りをお断りし、
届いてしまった時は電話して送り返させていただく。
「公僕なので、受け取れません」と、ハッキリお伝えして。

この春卒業した生徒の親御さんからかな、そう思った。
夫が帰宅し、確認してもらった。
ビールの他に手紙もあった。


「これは・・・ありがたく頂こうか」
夫が、手紙を読み終えて、そう言った。

「初めての給料を頂きました。
 少しですけど先生飲んで下さい・・・だってさ」

夫の今の勤務校は、進学校じゃなく就職する子が多い。
夫からよく話を聞いていた、やんちゃで(とても)手がかかった、
この春卒業し就職した男子生徒、本人からだった。

「出世したら、俺、先生に酒ゴチしますから。約束します」
卒業式の日、アイツそう言ってたんだよな。
少ない給料なのにな。まだいちばん下っ端なのにな。
・・・そう言って、夫が手紙を見せてくれた。

先生がいなかったら、きっと卒業してなかったと思う。
仕事は、思ってたより楽しかったんで良かったです。
俺は、父(リストラ後、自らの意志でこの世を去った)のようには
絶対にならないから安心してて下さい。
自分はバカだから、教師にはなれなかったけど、
先生みたいな大人にはなりたい。

私は、こういう話にとても弱いので、
もう、それ以上は文字が滲んで読めなかった。
夫は、こういうシーンに慣れているのか平静だ。

じゃあ、飲もうよ、と言うと、
今日は先に風呂に入るかな、と珍しく夫がそう言った。

その間に、ビールを冷凍庫で急冷しておいた。
「旨いっ!」と、夫が何度もそう言った。
「先生の授業が受けられないのが悲しいです、だって」と、
娘が手紙を読んで言った。
「だったら、赤点ばっかり取ってんじゃねえよ」
・・・夫が嬉しそうに笑った。


がんばれ!頼もしいフレッシュマン。
毎晩のように、夫から(うぜえ)電話がかかってきていた、
学生服のやんちゃな青年は・・・もう、いない。

爽やかな風が吹いてゆく、キラキラ眩しい季節です。
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by kurin1022 | 2010-04-21 21:32 | 日々のあわ | Comments(10)

同窓会は遠きにありて思うもの

「ずっと好きだったんだぜ 相変わらず綺麗だな」

せっちゃんがあまい声で、こんなあまい言葉を言う。
これでキュンとならない女子は・・・ぜ~ったいにいない(はず)。

同窓会で好きだった彼女と会う。
その時の男の気持ちを歌った・・・青春ソングってトコかな。


父が転勤族だったのであちこちに住み、転校も経験した。
今の実家に住んだのは中三の時。
結婚して、道路を挟んだ実家の前の場所に、
私達夫婦のささやかなマイホームを建てた。
・・・よって、今も青春時代を過ごした地元に住んでいる。

だから・・・
高校生の時に付き合っていたAクンとばったり会ったり、
娘の通った小学校で、自営業で跡取りのTクンが
PTAの副会長をしていたりして、よく会った。
娘と一緒にJUMPのコンサートに行く
お友達のお父さんが、同級生だったりするし、
プチパートをした勤務先で、中学の時に好きだったOクンが
上司でいた、なんてこともあった。
Iクンも娘の同級生のお父さんだし、Sクンも・・・。
今現在の日常において、周りに同級生がいっぱいいる。

今朝だって、庭の駐車場をほうきで掃いていたら、
ウチの前の道路が通勤路となっているOクンが、
「おー!くりん!」と、わざわざ車の窓を開け、
それだけ言って、ニヤリと笑って通り過ぎて行った。

起きて間もないボサボサの髪。もちろんスッピン。
およそ小汚い格好の・・・私。
「朝、もし見かけたとしても、絶対に声は掛けないでいいから!」
何度も言ってあるのに、コイツまた、わざとやりやがったな。

たまには飲もう!となり、数人で会って飲んだりする。
最近になって気づいたことがある。
「相変わらずだな」という言葉を、それはもう頻繁に、
男はやたらと使いたがるということ。

若い頃の自分と、(外見はもちろん)内面もきっと、
うんと変わっている私。
娘(中一)くらいの時は、まだここに住んでいないから、
そんなに小さい頃から知ってるってわけじゃないし。

それに、あの頃・・・
そんなに自分を見せたりしてないはずなんだけどな。
いろんなことを、そっと胸に秘めていた思春期だもの。
今よりも、ずっと控えめでおとなしい少女だったし(笑)。
そんなに知らないはずだよねえ、と思うけど。
それなのに、しょっちゅう「相変わらずだな」と言われる。

きっと・・・男は女の三倍はロマンチストなんだと思う。
「相変わらず」という呪文を唱え、過去と今が
ちゃんと繋がってるぜ!って、きちんと確かめることで、
セピア色の同窓会気分をしっかりと盛りたてて、
思い出ってモノに、センチに浸ってみたいんだろう。
「相変わらず」は・・・そんな魔法の言葉なんだ。

(ただのプチ飲み会だとしても)みんなで集まる時は、
そんな時間をきちんと演出したいんだと思う。
この場の過ごし方として最も賢い選択だと思うし、
やっぱりこっちもなんだか嬉しい。

飲んで良かったな、といつも思う。だから、また会う。
今、父親やってる同級生の話を聴くのが好き。
息子さんが高校受験だったというTクンの話も良かった。
私立の入学金の締め切り日が、第一志望の県立の合格発表日で、
もう県立は諦めてたから、30万円を腹巻きに入れて見に行ったぜ。
受かってたんだよ、と嬉しそうに笑った。
こういう他愛のない話を聴いているのが好き。
締めは、(斉藤和義を知る者はなく)浜省カラオケとなる。
青春ソングは、なんてったって、やっぱ浜省でしょ!

高嶺の花だったモテモテちゃんに思いを馳せたりして。
いつまでも彼らの中では、16歳の思い出の中の美少女。
今でも(あの頃の彼女と)デートしてみたいぜ、などと笑ってる。
・・・いつだって、男の夢は大きいねえ。
だって・・・
頭が薄くなりかけたり、立派なお腹がチャームポイントのオヤジと、
16歳のモテモテちゃんとデートなんて、そりゃあもう、犯罪でしょう。
世の中は、そういった現実を理解出来ない輩で溢れている。
今の彼女に会ってみたい・・・じゃなくて、
あの頃の彼女にもう一度会って、今、デートしてみたいんだそうな。
・・・ロマンチックが止まらないねえ。


同窓会は遠きにありて思うもの。
「思い出は美しいままで 笑ってる この胸の奥で」

しっかり手が届いてしまうペンペン草のような私。
酔っぱらいの同級生から、度々頂くお言葉は・・・
「相変わらず・・・お前は話しやすいんだよなぁ」

・・・ま、いいか。
「どっちだっていいか 満月だぁ~♪」

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「今夜みんな帰ったら もう一杯どう?
 二人だけで」

せっちゃんにそう言われ、
涼しい顔でにっこり笑って断る私。
残念そうな顔で俯くせっちゃん。
一度やってみたい・・・(バカな妄想)。
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by kurin1022 | 2010-04-17 15:57 | 日々のあわ | Comments(8)

グリーンのケータイ

「百瀬、こっちを向いて」   中田永一

高校生の頃に好きだった彼女と、同窓会で再会する。
斉藤和義の「ずっと好きだった」が、ふとした時に
耳に優しく届けられる昨今・・・
高校生の恋愛小説ばかりを立て続けに読んでいる。
キュン!のシチュエーションには、
とても縁遠い私なので、せめて小説の中で(ってことか)。


恋愛アンソロジー「I LOVE YOU」で表題作は読んでいた。
先日読んだ「吉祥寺の朝比奈くん」が好きだったので、
またこの作家の本を手にしてみた。

表題作は、再読して・・・じーんと伝わってきた。
高い評価の話題作だったけど、改めて納得。
綺麗な文章だなと思う。

四話からなる短編集。
クラスでは目立たない、地味で控えめな感じの高校生が、
どれも主人公になっている。
「百瀬、こっちを向いて」と「小梅が通る」が好きだった。
光る言葉が胸を打つという感じではなく、
淡々と綴られた文章を読み終えた後、優しい気持ちになり、
じんわり心が温まっていた・・・という感じ。

簡単な漢字をひらがなで綴った意図した独特の文体が、
最後には妙に心地良くなっていて、引き込まれた。
とても繊細に緻密に表現している文章だけど、
それをいちいち感じさせることなく、
スラスラ読み進めていける。巧いな、と思う。

それぞれの作品で、最後にちゃんと幸せのご褒美があった。
この作家のこういうところが好き。


私にも、ちょっとしたご褒美があった。

「中学生になったらね」
前からの約束だったので、娘がケータイを持った。
娘が選んだのは、目が覚めるような鮮やかなグリーン。

メアドは、あっさり決まったようだった。
大好きなジャニーズのアイドルくんのイニシャルと
自分の名前でも入れるんだろうと思っていた。

「自分とお母さんとお父さんのイニシャル。
 それと、三人の誕生日をアドレスにしたの」

些細なことだけど・・・やっぱり嬉しい。
ストラップは、私とのペア(ミニーマウスのキーと鍵穴)と、
夫とのペア(ミッキーとミニーがKiss)にするんだ、と
前から決めていたらしい。

中学校生活が始まり、自己紹介カードたるモノを作成していた。
「座右の銘ってなんだ?」と、ブツブツ言いながら
宿題のソレを書いていた。尊敬する人って欄もあった。

後で、こっそり見てみると、そこには・・・
「お母さん」の文字。

空白を埋めるため、ただ書いただけに過ぎないってこと。
それは、重々承知している。
でも、こんなことが・・・やっぱり嬉しい。

子育てって、ふっと幸せを感じる時間が繰り返し訪れて、
「ありがとう」なんて言いたくなるんだ(言わないけど)。

「中学生になったから、自分のベットで寝るんだろ」と夫が言う。
「どっちだっていいけど」とまだまだ幼い娘。
「余計なことを言わないで」心の中でこっそり呟く私。
隣に小さな顔がスヤスヤ眠る布団がある。
こうやって川の字で眠るのは・・・
もう長くないってことは分かっている。
分かっているんだけど・・・ね。

「明日からね」と、言いながら、
その日を少しずつ先延ばしにしてきた。
でも・・・
仕事が休みの明日。娘のベットを綺麗に整えよう。

なんだか、キュン!・・・と胸の奥が軋んだ。
でも・・・
今日の気分はこんな感じ。

朝までSTEPきざむ  君が笑ってくれるなら
歌声は響く  月が笑いかけた方へ
 
                   ♪ 「踊る人たち」  ハナレグミ  

ありがとう、ここりん。
グリーンがキラキラと眩しい・・・新しい春ですね。           
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by kurin1022 | 2010-04-14 21:30 | ここりん My Love | Comments(5)

思い出は美しいままで 笑ってる この胸の奥で

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「桐島、部活やめるってよ」   朝井リョウ

たまたま何気なく映していたテレビで、
早稲田のストリートダンスサークルで
仲間と踊っている若者を見た。

『小説すばる新人賞』を取った時、
「そんなばかな」・・・が周りの反応でしたね。
小説を書いていることは
周りの誰にも教えていなかった、と話す。
サークルの練習も、執筆中はサボり気味で
・・・やっぱ、気が引けましたし。

涼しげな表情でそう話す普通の大学生。
彼の書いたその小説を・・・読んでみたくなった。


本当は、世界はこんなにも広いのに、
僕らはこの高校を世界のように感じて過ごしている。


高校生の感覚がなくならないうちに書きたかった、と話す。
学生服がまだ近くに感じる人じゃないと、
ここまでリアリティーのあるものは書けないだろう。

五人の同級生が、高校生活をそれぞれの視点から語る。
オムニバスの形で描き、「桐島クン」自身は
最後まで語ることがない。センスがいいな、と思う。

娘が読むケータイ小説と同様の、会話や短文の羅列に
少々疲れたりもするが、時々キラリと光る言葉がいい。

熟れたトマトでもつぶすように、心臓が
上からぐしゃりとされたような気分になる。



誰もが高校生の時に経験する、階層意識が話の軸だ。

高校って、生徒がランク付けされる。
上か下か。この判断だけは誰も間違わない。


気づかない振りをするのを得意とし、
自分で勝手に立場をわきまえ、
同級生間の確固たる位置を甘受しているように装い
己を確立している、そんな繊細な心の揺れ。

冴えない下のランクの奴が、実は眩しく見えていたり、
表面じゃない誰にも言わない内面のランク付けを、
常に冷静に客観的に描いているところに、読み応えがある。

風助の心の描写に、同世代の筆者の
今しか出来ない筆運びが光った。

悲しそうな、残念そうな顔をしろ。
耳元で俺が俺に囁いた。
俺は嬉しいんだ。桐島がいなくなって。
考えれば考えるほど、自分がどんどん
嫌な奴になっていくから、結局蓋をする。



青春って、見栄や建前という鎧をまといながら、
何かを渇望している自分自身にしか語れないその思いを
カバンの底にしまい込んで、歩いて行くんだよねえ。
いつの時代も。

俺はどんどん重くなっていくカバンと戦っていた。

思春期の微妙な心の描写に、あの頃を思い出していた。

この胸の奥で・・・
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by kurin1022 | 2010-04-08 15:02 | | Comments(4)

観覧車はセピア色の青春の中に

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「吉祥寺の朝比奈くん」   中田永一

五人の作家が紡いだ短編集「I LOVE YOU」を、
伊坂幸太郎目当てで読み、この作家を知った。
『百瀬、こっちを向いて』という作品だった。
高校生の恋愛の青く息苦しい思いを繊細に描いた、
瑞々しい感性の小説だった。
新人作家なのかな。
また、この作家の作品に触れてみたいと思った。

気になるこのタイトル。これは読まねば。
五つの恋愛小説の短編集。
叙情に溢れた優しい描き方をする作家だ。
この人の筆運びは好き。
どんどん心が透明になっていく感じがする。


『交換日記はじめました!』

交換日記なんて、ノスタルジックで・・・いいじゃない。
今はしないのかな。こんな非合理的な・・・素敵なこと。
最初がこの話だったのが、良かったな。
一気に、高校生の「青春」してた頃の自分に戻る。
日記に第三者が巻き込まれていく展開が絶妙。
人々の愛情に触れながら、ホロリとおちていた。


『三角形はこわさないでおく』

高校生のベタな三角関係が、甘酸っぱくていいな。
「恋愛感情」を抑えようとする「友情」に、
悩みながらも折り合いを付けていく。
そんな、心が少しずつ成熟していく過程の描写が好き。
打ち明けることはないが、感じているお互いの心の気配。
心の機微に丁寧に触れていて、優しい気持ちになる。

三つの点にはそれぞれの悩みがあり、性格があり、
人生があり、おもいやりがある。
二辺の長さの和が、のこりの一辺の長さよりも大きければ、
三角形はこわれない。


三角形をいつまでも維持するのかは分からない。
その形が、ゆっくり崩れたっていいんじゃない。
アナタたちは、別の形や距離をきっと作っていけるよ。
お節介だけど、そう言いたくなってしまう。
そんな爽やかさだった。


『吉祥寺の朝比奈くん』

最後のタイトルの作品が、何と言っても秀逸。
不貞の心を描いた作品で、心がこんなに爽やかで
温かくなったモノは初めてだ。
こういう筆運びって、読んだことがなかったかも。

恋愛感情がゆっくりと芽生えていく・・・その心の揺れを
繊細に描いている。どんどん引きこまれた。
不貞に対する罪悪感も。恋愛感情も。人としての深い愛も。
こんな風に丁寧に描いた作品は、読んでいて気持ちがいい。

最後に待っていた、どんでん返し。
何でもない台詞。キュンと好きだったのにな。

「・・・何だろう、それ。僕にはよくわからないな。
 山田さん、指に、なにかついてますよ」
彼女の左手の薬指には銀色のリングがはまっていた。


けれども・・・私を落胆させたのは、束の間の時間だった。
やっぱり、この作家の筆だもの。裏切らないねえ。
ラストは、しっかり・・・優しい気持ちに包まれていた。
人として、きちんと人を愛していきたいな。
不倫の恋を描き、そんなことを思わせてしまうことの妙。


読み始めた途端に、ノスタルジックな世界に連れて行き、
澄んだ温かな空気で終わるのかと思いきや、毒を入れ、
また・・・いつしか優しい空気に包み込んで終わる。
そんな五つの作品の流れが巧い。

情景がくっきりと浮かび、読んだ後はセピア色に残った。
やっぱりね。有名作家の別ネームの作品なのだそう。
また読んでみたいと思わせる、素敵な新人作家だ。



学生服に身を包む最後の三年間って、
「青春」や「セピア色」って言葉が、ほんとに似合う。
(照れてしまうほど・・・ベタベタだけど)

昨年、大阪で昔の同僚と再会し、当時を懐かしんだ。
前の日、「ベロチュー」とせっちゃんが笑ってみせた
「HEP FIVE」の赤い観覧車の前で待ち合わせた。

やっぱ、男女二人じゃ乗れないよねえ。
なんか、観覧車って青春だよねえ・・・と話した。
私にとっても、元同僚にとっても・・・
観覧車には甘酸っぱい青春の思い出があるということを、
長い歳月を経て、その時初めて打ち明けあった。

別れ際、「やっぱ、乗る?」と彼が冗談っぽく笑った。
この期に及んで、青春やるってのもねえ・・・。

観覧車はセピア色の青春の中でこわさないでおく。

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      C.C.Lemonのペットボトルに付いてきたおまけ。思わず・・・にっこり。        
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by kurin1022 | 2010-04-04 10:10 | | Comments(6)

「天は二物を与える」・・・私のイケメン考

「昔から、面食いじゃないもんねえ・・・」
遊びに来た友達から、そう言われた。
「斉藤和義」が載っている小冊子を手にしながら、
友達が何気なく呟いた。
(・・・つまり、その、そういうことです)

「イケメン」と世間が認める男性とは縁がない。
カッコいい顔の人は、カッコいいねで終わってしまう。
男の綺麗な顔って苦手。
(事実、せっちゃんは小綺麗じゃないし)
一見全く冴えないような、パッとしない顔に惹かれてしまう。
私の美意識は、もちろん大手を振って言えるモノじゃない。
重々承知しているから、遠慮がちに言うだけ。
でも、実際、イケメンには心が揺れないし、
歪なところがあってこそ、キュンとくるんだから仕方ない。

歪なモノに惹かれてしまう人って、案外多いのかも。
好きなブロガーさん(せっちゃんファン)が、
「せっちゃんのことを、いいよねと賛同されると
 この人も歪んでるのかと、不憫に思ってしまう」
と書かれた日記を拝見して・・・思わず笑ってしまった。

先日、赤坂BLITZでせっちゃんを観た。
後方で、ゆったりまったり観ていた。

カッコいいな、やっぱり。でも・・・
もしも顔がパッチリお目々の麗しの二枚目だったら
こんなにキュンってするんだろうか?

遠目から、のんびりと観ながら、
時々妄想で「佐藤健」の顔にしてみたりして、
やっぱりぼんやりしたあの顔でなきゃダメだな・・・などと
かなり歪な事を考えたりしながら観ていた。
(FCの集いのライブ中に歪んだ妄想。いけません?)


せっちゃんの故郷「おもちゃのまち」にある病院から、
イケメンの若い医師が、週一で職場にやって来る。
背が高く、足が長く、顔はしいて言えば「坂口憲二」だね。
イケメン先生が来ると、いつもは言わないくせに
たちまちあちこちが痛くなり、診てもらうんだと張り切る
「ばーさまたち」・・・しっかり、乙女の顔になってる。

私は栄養の事に携わる仕事をしており、
度々、イケメンから医師の見解を聞かせてもらう。

「イケメンで、背も高いし、頭もいいし。(高収入だろうし)
 天は二物を与えますよね」

そう話すと、「僕ですか?」と、涼しげに笑った。
(言われ慣れてる言葉とみたね。
 アンタ以外、今ここに、二物を与えられたようなヤツ
 何処にいるんじゃ~!)

その爽やかな笑顔、カンペキです。
カッコいいって自負してるだろうけど
あたしゃ、イケメンにはキョーミはないからね、などと
全く意味のない戯言を心の中で呟く私。

実際、クールな横顔のイケメンは、イケメンゆえに、
星の数ほどの女を泣かせている(ふふふ)などと、
まことしやかに囁かれたりしていた。

昼過ぎには、イケメンは帰ってしまう。
そうだ、もう一件、聞きたい事があったんだ。
イケメンの姿が見当たらない。
何処に行ったんだろう・・・と捜していたら、
もうすぐ100歳になるおばあさんの部屋に居た。

「ギリギリまでお年寄りの方と話していたいんです。
 僕の大事な癒しの時間なんです」

いつもそうされているんですか、と尋ねると、
お年寄りの方が好きなんです、とはにかんだ。
隣でおばあさんが・・・優しくにっこり微笑んだ。

謙虚な人だな、と思った。勉強になった。
私が、いずれ医者になったり(いずれって?)、
直木賞を受賞したり(何の作品で?)した際には、
この事を教訓として、我が身を戒めていこう。

ダウンジャケットに着替え、颯爽と帰って行くイケメン。
その佇まいに・・・しばし、目を奪われてしまった。

その瞬間・・・
いつもの周りの景色が変わって見えたから。

「何を見とれているの~」・・・同僚に話しかけられた。
「イケメンはどこまでもイケメンだよねえ」・・・そう答えた。


斉藤和義の大きな魅力のひとつ。
彼がそこに居ると・・・
周りの景色が変わって見えること。
そこに存在するだけで・・・
周りの景色を変えてしまう・・・その独特な佇まい。

天は二物を与えるよね。
二物どころじゃない。

せっちゃんのそんなイケメンぶり。
私の歪んだ美意識で・・・
数えだしたら、両手じゃ足りない。
(写真写りなんてどうでもいいのさ・・・って感じの大らかさもね)

c0217793_647719.jpg

        (マチャアキだねって・・・確かに写真では、全くオーラはないな)
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by kurin1022 | 2010-04-02 00:25 | 日々のあわ | Comments(8)



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