どっちだっていいか 満月だ

風船がふわりと舞った祭りの夜に。

斉藤和義 20th Anniversary Live 1993-2013
“20<21” ~これからもヨロチクビ~  
2013.9.1 さいたまスーパーアリーナ



音が鳴り始める。
「ああ・・・」と思わず心の中で呟いてしまう。
その度に、セピア色の気持ちに包まれた。

何度も何度も・・・
心の中でこんなシーンを繰り返した夜だった。
楽しくて温かくて・・・
素敵なお祭りの夜だった。


ドドンタタドドン ドドンタタドドン♪
豊夢くんがリズムを刻む。

こんな懐かしいドラムの音に合わせて、
クラップハンズ出来るなんて。

「手に入れたい 手に入れたいもの
 何処にもない 俺たちのロックンロール」


シンプルな言葉で紡いだシンプルなこの歌。
キュンと心が大きく揺れた。
シンプルだけど、グッとくる歌。
久しぶりに聴いた。
胸がいっぱいになってしまう。

「探してる 探してるんだぜ 
 形には 残らない やさしさ」


あたりまえのことなのだけれど・・・
せっちゃんって、
紡ぐ詞がほんとにいいな。
そんなこともあらためて感じていた。

完全に“和義ワールド”に持ってかれた夜。
完全に舞い上がった熱い夜。
いろんな気持ちがごっちゃになって、
フワフワしてた幸せな魔法の時間だった。


17,000人のオーディエンス。
天井まで埋め尽くされたアリーナ。
20周年のお祭りにふさわしい光景がそこにあった。
眩しいせっちゃんの姿がそこにあった。

私の中で“さいたまアリーナ”と言えば、
イコール“浜田省吾”なのだけれどね(笑)。
でも・・・今日はなんてったって、
“せっちゃん@初さいたまアリーナ”だ。
20周年おめでとう、せっちゃん。

滝の汗のせっちゃんの顔が大きなビジョンに映る。
嬉しそうな楽しそうなせっちゃんの笑顔が大きく映る。

「今日は長くなります」って省吾の定番の台詞(笑)。
せっちゃんの口からも聞いた。くすぐったくなった。

・・・3時間45分だった。
20周年でも気負うことなく、
いつも通りのせっちゃんだった。


『老人の歌』を久しぶりに聴いた。
微動だにも出来ずに聴き入ってた。
こういう深くて温かな詞を、
20年間ずっと届けてくれたんだね。
胸がいっぱいになる。
ありがとう、せっちゃん。
・・・何度も言った。心の中で。

『無意識と意識の間で』は、
三分の一は目をつむって聴いた。
なんだか・・・すんごく贅沢な気持ちになった。
セクシーなあまい声にゆったり包まれて、
いつしかほんとに“間”に持ってかれてた。

「1、2、3、4」って、
せっちゃんがカウントを取った。
『歌うたいのバラッド』を優しく歌う。
こういう入り方も素敵ね。
“ギタリスト斉藤和義”ここにあり!のアウトロもセクシー。
ああ・・・それにしてもなんて色っぽいんだろう。
なんてカッコいいんだろう。


この日、彼が語った中で
いちばんキュンと届いた言葉は、
チバ氏との共作のアルバム曲のハナシのくだり。
「悪いけど、すごくいい曲なんだよね」って、
ちょっとドヤってはにかんでみせた。

こんな風に自然に自信が滲み出て見え隠れするところ。
きっと・・・ふと口をついて出た何気ない言葉なのだろう。
私は彼のこういうところが、好き。
“歌を創ることに懸ける彼の情熱”が見えるようで。
“20年の歳月を重ねた男の顔”を見せつけてくれるようで。

「これ、とうちゃんのマーク?」(可愛いね)
そう聞いてくるというご子息のことも嬉しそうに話した。
「あなたのとうちゃんは、ほんとに働き者ね」って思う。
・・・こんだけ働くロックなとうちゃんって、
そうそういないでしょ!

「長いんだか短いんだかわからない」
せっちゃんはそう言ったけれど・・・
濃い20年だと思う。
毎年届けてくれたアルバム。たくさんの歌。
けっして、それだけで計ってるんじゃない。

20年という時間の中で彼が創り上げたその世界に
たっぷりと包まれたこの夜・・・
そう確かに感じていたんだ。


この夜、二回泣いた。

「20年前に最初に出したシングル曲です」
・・・デビュー曲でこのクオリティの高さ。

『僕の見たビートルズはTVの中』では、
ステージの大きなビジョンに、
大気汚染されてく空の映像や
戦場の兵士の姿がモノクロで映し出された。
映像を背中にしてせっちゃんが歌う。

せっちゃんのライブでこういうシーンを観る。
新鮮だった。ちょっと・・・驚いた。
浜田省吾のライブと、
この時ばかりは重ねて観てた。

「僕はマシンガンを撃ったことなどない
 ブラウン管には 今日も戦車が横切る」


そう・・・この歌は硬派な詞の歌でもある。
なんか、せっちゃんって、すごい。
振り幅が広くて。いろんな顔があって。

せっちゃんの大きさ。広さ。強さ。優しさ。
20年。重ねた時間。たくさんのライブ。
そして・・・たくさんの歌。

小さく口ずさみながら聴いていたら・・・
涙がゆっくりじんわり溢れ出てきた。


センターステージで歌ってくれた『月光』では、
もう完全にヤられました。
完全に持ってかれました。
だって・・・目の前であんな風に歌われたら、
シビレないわけないっしょ!

重ねていく言葉。力強い歌声。
かき鳴らすアコギの音。
どんどん胸が熱くなっていって、
どんどん胸が溢れていった。

ギタリストの彼のたくましい腕を近くで観る。
「あっ!」と歪んだ表情を見せ、左手を一瞬離した。
途中で手がつってしまった。
動じることなく、ブルースハープを力強く吹き、
そのまま歌い続けた。

キュン・・・となった。
滝の様な汗をかきながら直向きに歌う彼のその姿に。
間近に観てた数多なる女子のハートを射抜いて、
完全に虜にしたシーンだった。

歌声が、アコギの音が、どんどん迫ってくる。
胸の奥までストレートに届く。

「月も見えない夜に 何かが光り出した
 気のせいなんかじゃない 確かに胸の奥の方」


・・・ここで涙が一気に溢れ出た。
熱くなった。胸の奥が痛くなってしまうほどに。
まあるい温かい気持ちで満ちてた。
ありがとう、せっちゃん。


最後にふわりと・・・
たくさんの風船がゆっくり空から舞い降りてきた。
風船をゆらゆら振らしながら、
『歩いて帰ろう』をみんなで歌った。

大きな声でみんな笑顔で歌った。
せっちゃんも笑顔だった。
優しい笑顔だった。
眩しかった。

この夜はふわりと・・・
なんかとっても幸せな気持ちだった。
何度も言っちゃうけれど・・・
ありがとう、せっちゃん。



すごく“歌うま”なシンガーだとは思わない。

けれど・・・
声が好き。紡ぐ詞が好き。メロディーが好き。
優しいギターが好き。
かき鳴らす力強いギターが好き。
ギュインギュイン弾き倒すギターが好き。
目をつむり歌う時の顔が好き。
ギターを持つ立ち姿が好き。
高音の時に背伸びしながら歌うところが好き。
“歌うたい”として真摯で一生懸命なところが好き。
硬派で軟派なところが好き。
真っ直ぐで自分に正直なところが好き。
“せっちゃん節”炸裂の時の悪戯っぽい顔が好き。
ちょっと得意そうに話す時のドヤ顔が好き。
思わずクスッと笑っちゃうような話し方が好き。
セクシーでやさぐれた感じが好き。
長身のきれいな線が好き。
照れたような優しい笑顔が好き。

ああ・・・どれだけの言葉を並べてみても、
言い尽くすことなんて出来ないや。


“斉藤和義”が好き。



SET LIST  

1 ずっと好きだった
2 Hey! Mr.Angryman
3 Are you ready?
4 カーラジオ
5 ワンモアタイム
6 愛に来て
7 俺たちのロックンロール
8 僕の見たビートルズはTVの中
9 進め なまけもの
10 空に星が綺麗〜悲しい吉祥寺〜
11 郷愁
12 老人の歌
13 無意識と意識の間で
14 月の向こう側
15 歌うたいのバラッド
16 何処へ行こう
17 砂漠に赤い花
18 BAD TIME BLUES
19 やさしくなりたい
20 Hello! Everybody!
21 ロケット
22 ベリー ベリー ストロング〜アイネクライネ〜

EN.
 (センターステージ)
1 アゲハ
2 やわらかな日
3 彼女は言った
4 月光
 (メインステージ)
5 君の顔が好きだ
6 Always
7 月影
8 歩いて帰ろう
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# by kurin1022 | 2013-09-06 07:47 | 斉藤和義 | Comments(11)

祭りの前に。

CDを買うってことは・・・
ネットで頼み、発売日の前日に届くってこと。
そんな感覚がずっと染み込んでたんだなぁって、
改めて思う。楽ちんだもんね。

そういえば、
近くのCD屋で注文するってことを
久しくしていなかったな、と思う。
今回は久しぶりにそうした。

旅に行ったりしてて浮世離れした感じで
フワフワしてたら、なんとその間に、
漫画付きやら人形付きやらが・・・
あれこれ発売されますってお知らせが溜まってた。
相変わらず、のろまな私。

ネットでは、もうどこでも注文が入らなかった。
“20周年せっちゃん”の人気って、
ほんとすごいや。

一昨日、オンラインと同じショップでも、
店頭でならあっさりと注文出来た。
そんなもんなんだねぇ・・・と改めて思った。
漫画も人形も、なんかウキウキ楽しみで。


旅から帰ってきてからは、
せっちゃんばっかり聴きまくってる。
“せっちゃん祭り@さいたま”は、すぐ目の前。
準備はバッチリさ!ALL LIGHT ♪

神戸での2daysが、
そりゃあもう、どえりゃあ良かった!って巷の噂が届く。
テンションもドキドキもヒートアップしてきた。
セトリやレポはいっさい触れずに。
お楽しみはこれから・・・。


せっちゃんを聴くのは久しぶりだった。
なんだかそんなモードがずっと続いてた。
理由なんてないのだけれど。

古い曲をいっぱい聴いた。
キュンと胸の奥が痛くなった。
ジーンとなって、
なんだか泣きたくなった。

あたりまえのことなのだけど・・・
いい詞ばっかりなんだもん。


「解る気もするけど タイムマシンはない」

“ビデオ”“ブラウン管”と、せっちゃんが歌う。
胸の奥がツーンとなった。
いろんな感慨に包まれた。

・・・20周年ですね。
時を重ねるってほんとにすごいね、せっちゃん。

ああ、やっぱ、せっちゃんなんだなぁ。
すごいや、やっぱ、せっちゃんって。
なんかいろんな気持ちがごっちゃになっちゃった。
うまく言えないや。


これから、楽しいことが待っているので、
暑さがぶり返してきたって、それもまた良し。

素敵なお祭りの日は、
晴れてほしいな・・・と願う。
せっちゃんの嬉しそうな顔に会いたい。
おめでとう、せっちゃん。
心からそう言いたくて。

そして・・・
「ありがとう、せっちゃん」って
おっきな声で言いたいけれど、
それは・・・
ライブが終わるまで取っておくね。
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# by kurin1022 | 2013-08-30 17:54 | 斉藤和義 | Comments(11)

このタイミングで。

今年の夏はどこに行こうか。
一昨年行った石垣島が良かったから、
宮古島なんていいかもね。

旅行先をあれこれ考えているうちに、
自然と行き先が決まっていった。
どちらともなく決まっていった。

そうね。決まり。
この夏は・・・
ここしかないっしょ!

2013年の夏は、
東北の被災地を訪ねよう。

仙台から石巻、女川あたりまで行こう。
南三陸まで行けるかな。
ここりんは松島は初めてだね。

さぁ、来週。
行くぜ、東北。

昨年は娘の受験があり
どこにも行けなかったけれど、
娘が誕生してからは毎年、
夏は必ず家族三人で旅に出る。

訪れるのが遅くなってしまった。
そんな気持ちがどっかにずっとあった。

行くぜ、東北。
・・・今がそのタイミング。
そう感じた暑い夏の日。
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# by kurin1022 | 2013-08-17 17:14 | 日々のあわ | Comments(2)

ありふれた夏の日

「ごまプリン、固まりません」
調理場のMくんから事務所に電話が入り、
慌てて見に行く。

作った時間がちょっと遅かったのかな。
今日の昼食は冷やし中華で超忙しかったしねえ。
100人分の3時のおやつのプリン。
さぁ・・・どうしよう。
倉庫にスイカの在庫があったよね。
もう、それ使っちゃおうか。

「3時15分にはなんとか出します。間に合わせます」
彼はそう言い、氷を使って急冷したりして対応してくれた。
「あやうく、まる子になるトコだったよ」
・・・何の気なしに口をついて出た。
「お金持ちの友達のウチに行く時・・・」と彼が続けた。
・・・顔を見合わせて二人で笑ってしまった。

ちびまる子ちゃんのTVを同じく見ていた。
まる子がお金持ちの花輪クンの家に遊びに行く時、
オサレにゼリーを手土産に持って行こうと気取ったが、
なかなか固まらずに断念。結局・・・
お母さんにスイカを半分にしてもらい持って行った。
・・・そんなトホホなハナシだった。

些細なことだけどなんか面白かったな。
スイカとプリン(ゼリー)って組み合わせがなんか・・・。

Mくんは最近になって、
ハナレグミの『オアシス』をレンタルCD屋で借りたらしい。
「最後の『ちきしょー』で完全に持ってかれますね」
・・・なんて言うもんだから、なかなかの好青年だと思う(笑)。

だから・・・彼が秘かに4日間の休みを取り
グアム行きを企ててることを私だけが知っているが、
秘かに応援してあげることにした。
大黒柱の彼が連休するとなると現場はなかなか厳しいが、
上手くやっとくれ・・・とエールを送っている。がんばれ。


録画した“斉藤和義弾き語り・十二月~2012”を観た。
これって、2月10日に放送した再放送なんだ。オーマイガッ!
何やってたんだ、私。ぜんぜん気付かなかった。

娘の受験があったので、
ほとんどライブに行かない一年だった。
行きたいって気持ちも全くと言っていいほど起きなかった。
自分でも驚くほどに。

こんな貴重な放送まで見逃してたんだ、と改めてビックリする。
ある意味・・・「すごいな子ども」って思った瞬間だった。

こんなに長い期間、和義さんに会わなかったことはきっとない。
ライブ映像を観ていたら・・・
会えなかった彼に久しぶりに会えたような気持ちになった。
したことないけど遠距離恋愛ってこんな感じなのかな。
そんな気持ちに包まれてしまい・・・ドキドキした。


観だしたら・・・止まらなくなった。
ギターをガンガンに引き倒し『I Love Me』を歌う彼を観る。
「ライブでまたこれ観たい」って気持ちに駆られた。
『砂漠に赤い花』も良かった。生で聴きたかった。

『僕の踵はなかなか減らない』から
『LOVE & PEACE』『I Love Me』に続く流れが最高だった。
本番では、『BAD TIME BLUES』が間に入ってたらしい。
想像しただけでもゾクゾクしちゃう。

こういうたたみ込むような持ってゆき方なんて、
完全に確信犯だね、彼は(笑)。
だって・・・シビレないわけないっしょ。
『月光』なんて絶叫しちゃってるし。
・・・和義さんがキラキラ眩しかった。

遠くて会えずにいて久しぶりに彼に会ってみたら、
なんかうんと遠い人に彼がなってた。
・・・そんな感じと似てた。なんでだろ。

TVの中の会場の風景は、なんにも変わってなかった。
私がまんまここに入ったとしても浮かないなって思った。
・・・相変わらずオバサンが多かった。正直な感想。
アーティストの年齢と客層って、
多かれ少なかれ比例するのは自然の摂理だからね。
それで良しでしょ。むしろそうじゃなかったら不自然でしょ。


さぁ・・・あんな眩しい彼にどうやって会いに行こうか。
眩しくて遠い彼を観て、ちょっと気後れした午後。
もともと遠い人だけど、なんか今日はとても遠い。

そんな感慨に包まれたありふれた夏の夕暮れ。
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# by kurin1022 | 2013-07-22 16:23 | 斉藤和義 | Comments(7)

ありふれた言葉

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ありふれた言葉に気持ちが入った時ほど 
深い意味をもつ物はないよ。



歌詞カードの隅っこのほうに小さく、
タカシくんの文字で書かれたそんな言葉があった。

『ありふれた言葉』は、
2005年のハナレグミの3rdアルバム
『帰ってから、歌いたくなってもいいようにと思ったのだ。』にある。
今野英明さんの曲のカバーだ。

いちいち手書きで悪戯っぽい落書きが書いてあって、
その中でも見落としてしまいそうな小さな文字で、
そう書いてあった。


自宅で録ったというアルバムの音は、
子どもの声や虫の声なんかも聞こえてきそうな
温度のある生活のノイズの中にあった。
ザラッとした素朴な音が、耳に心地いい。
このアルバム・・・私はほんとに好きなんだなぁって思う。
中でも・・・『ありふれた言葉』がいい。

この彼の声、ほんとにいいな。
自然な感じでラフに真っ直ぐに歌っていて。
ふっと力を抜いて歌うところなんて、ほんとにいいな。

震災の後、私はこの盤ばかり手にしていた。
理由などないけれど、こればかり聴いてた。
余計なものは何ひとつ要らなかったし、
知らなくていいことは知りたくなかった。

背伸びせずに素直に飾ることなく歌う彼の声がある。
それだけで・・・もう充分だった。
実際、アコギとウクレレと彼の声以外、
世の中には必要なかった。


アルバムタイトルは、
『帰ってから、お腹がすいてもいいようにと思ったのだ。』
・・・料理家の高山なおみさんの本のタイトルから
彼がインスパイアされたであろうってことは、周知の通り。
アルバムの内容と合っていて、彼らしいと思う。

で・・・このアルバムが世に出た時、
同時に高山さんのこの本も読んだ。
ま・・・これってある意味、正統派の
ハナレグミファンとしての在り方だろうと思ったので(笑)。

私は仕事柄、いろんな料理本を見る機会が多い。
よくある手の届かない食材を使ったオサレなレシピと、
よくある料理家が書くオサレで素敵な文は、ちょっと苦手だ。
“素敵な暮らしのオサレな食卓”の押し売りに、
うんざりしてしまうことも少なくない。

・・・だって、レシピを見て作ってみたりするけれど、
見た目ばかりで美味しくないってこと多いんだもん(笑)。

高山なおみさんの綴ったその本は、
料理人のオサレな文からは遠く、どこか土の匂いがした。
小説としてエッセイとして料理本として、充分に楽しめた。

若い頃の自由奔放な自分の姿を、冷静に見つめていた。
心の中の空洞や葛藤や性なんかまで、
包み隠さず書かれていて。
言葉の中から“生々しい日常の暮らし”が溢れ出ていて、
時々キュンとさせてくれたりもした。
そして・・・ずっと“フィッシュマンズ”が鳴っている、
そんな本だった。


言葉の切り取り方が、ほんとに素敵だった。
私もこんな風に文を書くことが出来たらいいのにな。
読み終えて、何度もそんな風に思ったものだ。
そして・・・こういう年の重ね方をしたいものだ、と。

ずっと気になってた人と話が出来て、
「それ、私もそう」って分かち合えた時の喜びにも似てた。
揺るぎない毎日の暮らしの中で、
揺らぐ気持ちと変わらない心の在り方の描写も好き。

『日々ごはん』も読んでいる。文筆家として好き。
「要らないものは、触れなくてもいいようにと思ったのだ。」
・・・そんな読後感に包まれたりもするから。


いちばん好きだったハナシは『スぺーシャル・トゥー・ミー』。
大好きな映画を友人に強く薦めた時の思い出。

「なんかよくわからなかった」
申し訳なさそうに言う友人の顔をまともに見れなくて、
恥ずかしくて、自分が感動したことさえも
消してしまいたいような気持ちだった・・・というハナシだった。
私にも同じような経験があって、胸が軋んだ。

今なら私はちゃんとわかる。
誰が何と言っても、
自分にはかけがえのないものなのだからそれでいい。
自分だけにしかわからない特別なことを、
ひとつひとつ味わってゆけば、それで充分なのだと、
今は強く思える。

・・・最後にそう結ばれていて、私はここでジーンと熱くなった。

「ハナレグミを知らない」という人に時々出会うことがある。
「サヨナラCOLOR・・・知らないんだ」
・・・心の中でふとそう思う自分がいる。

“スぺーシャル・トゥー・ミー”だ。
こんな時こそ、このことを教訓として己を戒めている(笑)。
自分の好きなものをむやみに薦めたりはしない。

「ハナレグミを聴いてみたい」ってもしも人に言われたなら
(言われてないけど・笑)、私の好きな3rdの盤は薦めない。
これは私にとってのスぺーシャル・トゥー・ミーで、
きっと万人のそれではない。そう感じる。
愛しいと思って止まないこのジャケだって、
万人向けじゃない気がするし(弱腰なハナレファン・笑)。
『光と影』が入った『あいのわ』を薦めたりするだろう。
・・・スぺーシャル・トゥー・ミーってそんなものだと思う。


先日、ハナレグミを観た吉祥寺の“キチム”は、
ずっと行ってみたかったカフェだった。
キチムの前は、“クウクウ”という料理店だった。

「おいしいハレの料理を作ってきましたが、
 ひとりの主婦であり、料理家として、
 日々のつまらないご飯のことを、
 もっと大事にしたいと思ったことがきっかけです」

クウクウのシェフだった高山さんはそう話されてお店を辞めた。
同じ家庭料理人の主婦として、
「こういう感覚、好きだな」って思った。


後に、高山さんは、
『たべる しゃべる』というエッセイ本を出された。
大好きな“永積タカシ”が載っていたので、
正統派ハナレグミファンとしてしっかり読んだ(笑)。

その本の中には、
タカシくんが先日キチムで楽しそうに話してた
子どもの頃のハナシがたくさんあって、
懐かしく温かく思い出していた。

「猛烈に幸せであって、猛烈に悲しくなる時間が、
 そこにはいっぱいあったから」

キラキラした宝物のような温かい思い出で満ちてた。
人の幸せな大切な思い出話を聞いていたら、
こっちまで幸せな気持ちに包まれていた。


そして・・・もうひとつ。
この本は、今でも読み返すと、
キュンと胸が締め付けられてしまう。

“永積タカシ”という人の・・・
繊細で、傷つきやすくて、ナイーブで、
アーティストであるがゆえに痛みを負ってしまう、
そんな姿が訥々と綴られているんだ。

そんな彼の内側の一面を垣間見て、
キュンと胸が痛くなってしまう。

「見てはいけないものを見てしまったようで」
・・・高山さんはそう話されていた。
私も同じような気持ちになった。
今でもページをめくる度、そんな気持ちに包まれてしまう。

同時に・・・
プロの表現者としての彼の姿に、ただただ敬服してしまう。

「いちいち一喜一憂したいの」
「その瞬間、何かの気持ちでいっぱいになりたいの」
・・・“歌うこと”にどれだけの情熱を注いでいるか、を知る。


私はこの本の中で、いちばん好きなハナシはここ。
いつも胸の中がじんわり温かくなってしまう。

「悲しくない時に、悲しいなんて言えないよね」と、
タカシ君は言います。
子供のころ、マンガを描くのが好きだった。
主人公の悲しい顔を描いている時は、
つい自分まで泣きそうな顔になっている。
今でも歌いながら、
「いちいち、固まりみたいな気持ちがボカンと出てくる」そうです。

私が彼の歌を愛せずにはいられない理由は、
きっとこんなところにもある。
私は、彼の少年のように直向きで、
“歌うたいとして前のめりな姿”が大好きなんだ。

「ひと言でポンて終わらせるのが、なんか悔しいの。
 いっしょのものを、1ミリでも感じてほしいからさ」

彼はどこまでも表現者ね。
もう、カッコよくて素敵すぎるじゃん。
読む度にそう感じ、ページを閉じる。


そう言えば・・・
この頃は、“永積タカシ”ってクレジットだった。
『あいのわ』から、“永積崇”に変わってた。
彼の中で、何が変わったのだろう。
別に何も変わってないけど・・・って、
メガネの奥でにっこり笑うかもしれないけれど。

ありふれた暮らしの中で、
ありふれた言葉に気持ちが入る瞬間って
時々こうやって訪れてくれる。
年を重ねていくのってまんざらでもないな。
そう思う。

とっておきのスぺーシャル・トゥー・ミーにだって、
ありふれた毎日の中で、
こうやってちゃんと出会えているし。
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# by kurin1022 | 2013-07-22 09:41 | ハナレグミ | Comments(8)

サヨナラCOLOR

「永積崇の声に生まれたかった」

・・・そう話した青年がいた。
「福祉系の大学の先生になるんだ」
そう言って職場を去って行った、
スーパーバタードッグが大好きな青年だった。

「昨日、ハナレグミの武道館に行ってきたよ」
初めて永積崇のライブを観た翌朝、私がそう話したら、
「ハナレグミって武道館でやるようになったんだ・・・」
ちょっと驚いたような表情を見せ、感慨深げに言った。
バタードッグが解散した翌年だった。

「学びながら助手として働き、いつか教壇に立つんだ」と話した。
「高みを目指してる若者は眩しいねえ」と返した。
なりたいものになれたらいいね。
・・・心の中でエールを送った。


スーパーバタードッグの『サヨナラCOLOR』を、
2004年に初めて聴いた。

きっと聴いた人の多くの人がそうなのだろうと思うけれど、
初めて聴いた時の感動はずっと離れないでいて、
いつまでも鳴り止まなかった。
耳に残ってずっと尾を引いていた。
“衝撃が走る”って、きっとこういうことを言うんだと思った。

どうしようもないやるせなさ。
泣きたいけれど泣けない気持ち。
そんな気持ちをシンプルに真っ直ぐに紡ぎ、
素直にそして伸びやかに歌っていた。
ゆるやかな涼しい表情で優しく歌っていた。

ソロのハナレグミが始まって間もない頃、
「あの曲があって、“ハナレグミ”を創っていこうと思った」
・・・彼がそう話しているのを知る。

「ハナレグミを聴きたい」という気持ちが高まるのに、
時間はかからなかった。

2008年にスーパーバタードッグは解散し、
最初で最後の地上波TV出演で『サヨナラCOLOR』を歌った時は、
「今夜、最高に素晴らしい歌声が聴けるはずよ」と、
出来る限り多くの人に言い触れ回ったことは言うまでもない。

『サヨナラCOLOR』・・・
きっとこの先もずっとずっと、
私の中で尾を引いて離れないでいるのだと思う。


その後・・・彼の歌声にたくさん触れた。
声の温度、トーン、表情、情景。
すべてがほんとに心地良くて。
その歌声にすっかり心を奪われてしまった。

泣きながら笑っているような稀有な歌声は、
“上手い”なんて陳腐な言葉では語りたくないくらいに好き。
ずっと聴いていたい・・・そんな声だった。

『帰ってから、歌いたくなってもいいようにと思ったのだ。』
ハナレグミの3rdアルバムでは・・・
まるで口笛を吹いてるように楽しそうに歌っていて。
自然に飾らずに力を抜いていて・・・こんなにも届いてくる。

力を抜いて歌うところの声がほんとうにいい。
いい感じに力が抜けたその歌声は・・・
思いが浮かび上がって見えてくるようで。
ほんとうに歌うことが好きなんだな、と思う。

私は、あの震災の後、一ヶ月くらいずっと、
この盤ばかり繰り返し聴いていた。
理由などないけれど、こればっかりだった。


「ただの“歌うたい”になりたくて。
 なんでもない、誰でもないものになりたかった」

ヴォーカリストとして、
永積崇が素晴らしい(すぎる)ということは周知の通り。

ただの“歌うたい”になりたい、と語った彼だけど、
「音楽とは歌うものだ。自分で歌うものだ」
・・・そんな言葉も後に聞くことになる。
やっぱり彼は歌うべくして生まれてきた人なんだな、と思う。

その歌声は聴けば聴くほど、
ほんとにプロフェッショナルな“歌うたい”だと脱帽するばかり。
彼はどこまでもヴォーカリストなんだな、と感じてしまう。


本当のことが 見えてるなら 
その思いを 僕に見せて


本当のことっていうのは
多分すごくシンプルなことで、
言葉にしてしまうとどこか照れくさくて
どこか本当じゃなくなってしまう気がする。

大人になるといろんなことを覚えてしまって、
きっと・・・言葉なんてものは
自分の胸の奥まで届かないことが多くなってる。

本当のことをシンプルに詞にして歌う。
歌にするとほらこうやって・・・
毎日のシンプルな日常の中で、
ふっと何かを振り返ったりすることが出来る。
日々の暮らしの中の何かをそこに見る。
穏やかな気持ちに包まれながら。
そんな自分を今まで繰り返し見てきた。
彼の歌声の中にあって。

彼はきっと、
そういうことがちゃんと分かってる人なんだよね。
彼の歌を愛せずにはいられない理由は、
きっとこんなところにもある。
ライブの帰り道は決まって・・・
「ありがとう」なんて言いたくなってるんだ。

ちゃんと届けたいと歌う声は、
ちゃんと届きたいと思う人に届くものだから。

ヴォーカリスト永積崇の歌声って・・・
毎日のふとした時にこうやって聴こえてきて、
シンプルな日常の中の大切な何かを
振り返らせてくれたりするんだよね。
毎日にそっと色を添えてくれるんだよね。


「『サヨナラCOLOR』って、なんかせつないです。
 結局、バターのラストになっちまったアルバムの
 最後の曲だったりするんで・・・。
 歌詞が崇の気持ちとシンクロしちゃってるし」

永積崇の声に憧れ、
スーパーバタードッグを愛した青年は、
あの日そんなことを話していたっけ。

「キヨシローと崇の『サヨナラCOLOR』っていいんだよな」と彼が言い、
「キヨシローと崇の『君が僕を知ってる』もいいんだよね」と私が言った。


サヨナラから はじまることが
たくさん あるんだよ


「永積崇の声に生まれたかった」青年は、
ちゃんとなりたいものになれただろうか。
・・・時々、この歌を聴くとあの日の彼を思い出す。



ため息の理由。
ハナレグミのカバーアルバムなんていいに決まってるけれど、
『だれそかれそ』がすこぶる良かったので、
自分の中でどんどん“永積崇”が溢れ出してきてしまい、
もう手に負えない。

このままだと完全に崇ジャンキーになっちゃうから(笑)、
モードをリセットして今度はバタードッグにチューナーを合わせた。

でも・・・
『サヨナラCOLOR』なんて聴いちゃったりしたら・・・ダメじゃん。
ハナレグミとの馴れ初めなんかまでじんわり思い出しちゃったりして、
センチメンタルが止まらないじゃん。

どなたか・・・“崇止め特効薬”を私に処方してくれませんか?
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# by kurin1022 | 2013-07-13 22:19 | ハナレグミ | Comments(6)

「ROAD & SKY」な男たち

私は、結構な歳月の間、滞ることなく、
『ROAD & SKY』にせっせと年貢を納め続けている。

よって・・・その褒美として二つの書物が届けられる。
二ヶ月ごとに届く「浜田省吾」の会報誌と、
三ヶ月ごとに届く「斉藤和義」の会報誌。

内容やカラーは全く違う二つの会報誌。
それぞれの匂いや味があって、それぞれよろし。

必然的に・・・
浜田さんの語る「斉藤くん」にはアンテナが引っかかるし、
斉藤くんの語る「浜田さん」にもアンテナが引っかかるわけで。

今回の会報誌ではそれぞれの口から、
「浜田さん」「斉藤くん」が飛び出し、楽しく読んだ。


『ROAD & SKY』30周年パーティーで、
斉藤くんがギターを弾いて、
浜田さんが『君に会うまでは』を歌った・・・とあった。

事務所の周年記念のパーティーで、
所属アーティストが歌うのは珍しいことなのだそうな。

事務所の新人として斉藤くんが、
事務所の大先輩の浜田さんに「歌ってくれますか?」と口説き、
「斉藤くんに頼まれたら、それは断れないでしょう」と、なったそうな。

せっかくのパーティーだし、その方が楽しいじゃん、
と思っただけだけどみんな喜んでいた。
なにより浜田さんに歌ってもらえたのはよかったんじゃないですかね。
感謝して欲しいな(笑)。(by 斉藤くん)

斉藤くんがいたからああいうふうに盛り上がった。
斉藤くんのあの自由奔放な感じがあって、そうなるんだよね。(by 浜田さん)

・・・二つの会報誌でのやりとりが、なんか微笑ましくっていいじゃん。

小田原豊氏とスピッツの崎山氏のヒューマンビートボックスも入り、
かなりの盛り上がりだったそうな。


私が思わずクスッと笑っちゃったのは、
浜田さんが語っていたくだり。

パーティーの終わり頃に斉藤くんが
「浜田さん、なんか一緒にやりましょうよ!」って、いきなり(笑)。
「『君に会うまでは』なんかどうですか、僕も歌っていますし」って。
「じゃあ、斉藤くんも歌う?」と聞いたら
いや、歌詞を覚えていないです」。
あははははは。(by 浜田さん)

・・・なんかクスッっと笑っちゃいました。
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# by kurin1022 | 2013-07-07 21:37 | 斉藤和義 | Comments(2)

ハナレグミの“恋の予感”

ハナレグミ 「なんだろなー、できるかなー!?」 
                @吉祥寺・キチム  2013.6.16


「なぜ なぜ あなたは
 きれいになりたいの?」

『恋の予感』を楽しそうに歌いながら、
目の前に真っ直ぐに手を伸ばしてくれた。
にっこり笑って差し出したその手に
引き込まれていくように自然に手を重ねてた。
引き寄せてくれた彼の熱い手。
肩にそっと手を回してくれた。

すぐ隣りに崇くんがいて、耳元に崇くんの声がある。
ラストの歌を楽しむオーディエンスの手拍子と笑顔。
「ヒューヒュー!」という陽気な声。
大盛り上がりの弾けた空気の中で、
楽しそうに歌う彼を・・・隣りでそっと観てた。

永積崇に肩を抱かれて、彼の歌声を耳元で聴く。
こんなことはきっとこの先・・・ないだろう。

彼と一緒にゆらゆら揺れながら、そう思ってた。
歌う彼の顔を、声を、ちゃんと刻んでおきたくなった。
隣りでそっと・・・歌う彼を観てた。


「アルバムGETしてくれた人たちなんだよ」
アミイゴ氏にそう話す崇くん。
50人だけ招待してくれた限定ライブだった。
ふと舞い込んでくれた幸運に心から感謝し、キチムに行った。
ひっそりした通りにあるカフェだった。


第一部。
『ワインレッドの心』をカラオケで歌いながらのご登場。
昭和テイストの真っ赤なラメ張りのド派手衣装に、
ポマード(笑)でなでつけたような髪。
“ザ・場末の演歌歌手”のような装いで・・・大爆笑。
楽しいミラクルショーの始まり。

カラオケでビリー・バンバンの『白いブランコ』を歌ったり。
ギターを弾きながら陽水の『白い一日』を歌ったり。
家族のことや子どもの頃のことを話したり。

彼を知った時からずっと感じてたことがあって。
きっと愛情いっぱいの家庭で育ったんだろうな・・・ってこと。
自然に語る彼の言葉に、
“私が感じてた崇くん”が自然に滲み出てた。
家族の話っていいね。
優しい笑顔もいいね。

「さっきまでカラオケボックスで打ち合わせてた」と笑う。
そうとうカラオケで歌い込んでるね、彼は(笑)。
「ツアー中だから声の伸びがいい」とゴキゲン。
Crystal Keyの『Motherland』なんて、
ほんとにきれいで素敵な声だった。

彼の声は楽器ね。
どの楽器よりも楽器になる。
いろんな音を鳴らせる魔法の楽器。

学校の玄関で「歌ってよ」と言われて歌ってた・・・というくらい、
中学生の頃から“歌が上手い”と認識されてたらしい。
「10円玉とか5円玉とか(ギャラ)が降ってきたんだよ」
ビール片手に楽しそうに話す彼。

お酒を飲んだりしながら、
彼の話にみんながにこにこ耳を傾けてた。
始終、みんながにこにこ笑ってた。


時折、自身の音楽のルーツの話をしてくれた。
“私が抱き続けている永積崇”と重なった気がして、
くすぐったいような気持ちと
なんだか嬉しい気持ちが交差した。

「子どもの頃の夏休み。
 家族旅行の帰りの車の中で
 『空に星があるように』とか流れてて、
 胸をキュンキュンさせてた。
 もう夏休み、終わっちゃう・・・とかってあの感じ。
 ただ・・・そんなせつなさが嫌いじゃなくて。
 そんな子どもだったんだよね」

「どこか少年の頃の愁いや孤独を引きずってる人」
ジャケットのイラストを描かれた小池アミイゴ氏も、
同じような感じ方を話されていて。
「うん、うん!そう、そう!」・・・心の中で頷いてた。


彼の声は・・・
弾けるような踊れる曲を歌っても、
静かに語りかけるように歌っても、
深くて広い“海の碧い”になる。
優しくて淡い“夕暮れの橙”になる。
私の大好きな声。
唯一無二の宝物の声。

星の数ほどの数多なるヴォーカリストの中で、
多分・・・彼の声がいちばん好きかもしれない。


第二部。
『空に星があるように』のMVと同じ装いの崇くん。
「どーも!」とワイン片手ににこにこご登場。

今回のアルバム『だれそかれそ』のジャケットは好き。
「誰そ彼・・・“黄昏”って金色だよねぇ」
崇くんは、そう話してた。
金色の中のモノクロのスケッチの・・・
“せつなくなるような匂い”が届いてくるのが、いい。
手にした時からキュンと、好きだった。

小池アミイゴ氏は、
最前列の隅の私の席の隣りにいらした。
いろいろ面白い方だった。そして熱い方だった。
ジャケに一目惚れしていたので、
イラストはアミイゴ氏が描かれていることや、
HPを拝見し氏のことは存じ上げてはいたけれど、
シャイな私は話しかけたりは出来なかった。

『空に星があるように』と『中央線』は、
崇くんの弾き語りとアミイゴ氏のイラストとのコラボだった。

手が届きそうなくらいに近くにいて、
遮るものは何もない。
ギターを弾き優しく歌う崇くんを、
すぐそこに観る。
贅沢すぎるほどに愛おしい時間だった。

ほんとうに、素敵だった。
揺らすように弾くギターの音色。
彼の声が優しく伸びてゆく。
小さな空間にゆっくりと広がってゆく。
“初夏の黄昏の金色”にゆるやかに包まれてゆく。

モノクロのスケッチ画がどんどん迫ってきて、
どんどん胸が溢れていった。

白と黒のモノクロの世界が・・・
こんなにもたおやかに鮮やかに届くなんて。
優しい空気に穏やかに包まれた時間だった。

アミイゴ氏にどうしてもお礼が言いたくなり、
シャイな私は帰りに思い切って話しかけて握手していただいた。


アンコール。
“昭和テイストの彼”で再びご登場。
カラオケ大会と化して盛り上がった。

バンダナ巻いたファンクラブの人たち(笑)が現れてきて、
ペンライトを振ったり、タカシうちわを振ったりして。
「タカシ~!」と黄色い声援を飛ばしたりして。
紙テープも飛びかったりして。
ああ・・・面白かった。

「幻を愛したの~」と、
『オリビアを聴きながら』(原曲バージョン)をみんなで歌った。
手を揺らしながらみんな笑顔で歌った。
『ラヴ・イズ・ オーヴァー』(ラブがオーヴァーするやつ by タカシ)も。
ペンライトがゆらゆら揺れてた。

そして最後に・・・
『恋の予感』を歌ってくれた。
肩に手を回して、楽しそうに歌ってくれた。

「歌いたくなってきちゃったので、
 スイートに歌って終わりにしたいと思います」
予定外の曲に慌てるスタッフさん。笑う崇くん。

間奏の時、崇くんがにこにこ私を指差してきたので、
二人でにこにこ両手で指差しっこした。
いっぱいの笑顔で、大きく広げたその腕で、
最後にハグしてくれた。

大好きな永積崇の声で聴いたこの歌。
『恋の予感』は、特別な歌になった。


「ライブとかいろんなトコでまた会いましょう」
そう言ってバイバイして、
崇くんは笑顔で去って行った。

大きな会場で聴くハナレグミ。
小さな空間で聴いたこの夜の永積崇。

受け止めた感じは時々で違って見えた。
けれど・・・
どんな時でもやっぱり生で聴く彼の声って、
ほんとうにいい。

自然に語る何気ない話や創り出す空気感も。
いちいちクスッと笑っちゃうような話し方も。


「カバーは、歌うことだけにエネルギーを注げた」と話す。
聴き手のほうも、然り。
私は彼の紡ぐ詞が好きだけれど、
今回のカバーアルバムは馴染みの詞が多かったので、
温かい彼のあの声にじっくり耳を傾けることに
より集中してしまうような・・・そんな感じがする。
いつの間にか、あの声に聴き入ってる自分を見る。

素敵なミラクルな夜の後、
アルバム『だれそかれそ』は、より愛しくなった。
どんだけエネルギーを注ぎ込み、
どんだけ丁寧に創り上げたかってことは、
聴いていて・・・届く。
胸の奥が痛くなってしまうほどに。
ありがとう、崇くん。


彼のあの声に会えるのは、
今度は9月の終わり。
夏の終わりの風が通り過ぎていく頃。
『だれそかれそツアー』のラストで。

今度は、Zepp Tokyoの後ろの方から彼を観よう。
今度は、遠くに歌う彼を観よう。

たとえ遠くにいても
たとえ近くにいても
彼の歌声はいつも・・・
“黄昏てゆく金色の中”にある。
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# by kurin1022 | 2013-06-22 11:58 | ハナレグミ | Comments(17)



日々のあわ
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